48.wowaka
wowakaさんから受けた衝撃は人生で2回。10年前、裏表ラバーズを初めて聴いた時、心臓を鷲掴みにされるような衝撃を受けた。
それまで、洋楽・邦楽ロックばかり聴いていて「ボカロ曲=オタクっぽい」と思い込んでいた私の固定概念を叩き潰した音色と疾走感で、これまでの人生で聴いたことが無い、新しい世界の音だと思った。
ちょうど「仕事しかない」毎日から、Twitterやニコニコ動画といった「画面の向こうにある、もう一つの世界」に触れ始めた時で、自分の中でも何かが変わるな、という予感があった。
もうひとつの衝撃が、4月8日のニュース。4月5日に、wowakaさんが31歳の若さで急逝されたという。
早すぎるでしょう。いや、早いとか遅いとかそういう問題じゃなくて…なんで?あんな爆発的なエネルギーの塊みたいな曲をつくる人が、この世界からふっと消えちゃうなんてこと、現実的にあり得るの?という信じられなさ。
ニコニコのPって私みたいなニワカからすると、ちょっと不思議な存在で。もとは「こっち側」の人達だったはずなのに、目の前の箱を駆使して、頭の中身を「音楽」として具現化してしまう、昨日まで一般人、今日は魔法使いみたいなイメージだった。その最前線にいたのが現実逃避P、wowakaさんだと思っていた。
大好きな3曲。本当に、毎日聴いていた。
裏表ラバーズ
現実逃避P 6作目。2009.8.30投稿。
”ねじれにねじれた愛の歌のつもりです、たぶん。とにかくまくし立てるうたです。騒がしい。” (作者コメントより転載)
ローリンガール
現実逃避P 9作目。2010.2.14投稿。
”今度は転がる話。ひさしぶり?のバンドサウンドです。”(作者コメントより転載)
ワールズエンド・ダンスホール
現実逃避P 10作目。2010.5.18投稿。
”狭い部屋で踊れるような曲を作りたくてがんばりました。”(作者コメントより転載)
この歌が一番好きかなあ。歌詞を見るだけで、泣いてしまうな。
”ポップにセンスを歌おうか
世界、俯いちゃう前に
キュッとしちゃった心の音をどうぞ。
まだまだ忘れないわ。
なんて綺麗な眺めなんでしょうか!
ここから見える風景
きっと何一つ変わらないから、
枯れた地面を這うの。
ホップ・ステップで踊ろうか
世界の隅っこでワン・ツー
ちょっとクラッとしそうになる終末感を楽しんで
パッとフラッと消えちゃいそな
次の瞬間を残そうかさよなら、お元気で。
終わる世界に言う―――”
先日の取材先で「突然亡くなる方が居ない世界をつくりたい」と仰っていた方がいらして。音声メモを聞くたびに、どうかお願いします、と祈るような気持ちになる。
wowakaさんが生きた証を。
好きなことだけを語るブログと決めていたけど、悲しい気持ちを綴ってしまった。
でも、wowakaさんの歌が本当に好きだったから。