memo

ひたすら好きなことについて記すメモです。

18.ドキュメンタリー映画

ドキュメンタリー映画が好きです。昔から「プロジェクトX」や「プロフェッショナル」が大好きだったのと、仕事で「プロ中のプロ」の方々に取材することが多く。

最近よく考えるのは、娯楽としての「創作の映画」と、リアルな方々の人生を追う「ドキュメンタリー映画」、どちらの方がより魅力的なのかという…いや、言い方が難しいのですが、なぜこんなにも「演技をしていない市井の方々」の物語が胸を打つんだろう、としみじみ思うのです。(創作としての映画もだいっすきなので、どちらが優れているということではなく!)

ドキュメンタリー作品は、作り手(監督やプロデューサー)と対象者の関係性がとても重要だと思うのですが、何が伝えたくて、対象者と長い時間を過ごすのか…そういう時の積み重ねから、物語はより一層深みを増すのかなと。そして、作り手の想像の範疇を越えたことが、対象者とのケミストリーで生まれていくのかなと思うのです。それがドキュメンタリー映画の面白さなのかなと。

対象者が、カメラの向こうにいるヒトに心を預け、自然な表情を見せてくれる時の空気が、何よりも胸を打つんだろうなあと思います。信頼関係ですよね。

 

17.ドキュメンタリー映画

 

一番好きなドキュメンタリー映画「人生フルーツ」。一生忘れられない。先日、自主上映会で2度目の鑑賞に行ってきました。何度観てもいいなあ。

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これまで観てきたドキュメンタリー映画の中で、最上の三本について纏めます。以下、鑑賞直後の日記をメモ。

 

2017.9.17「人生フルーツ」@109シネマズHAT神戸
母からお勧めされて一ヶ月、神戸での上映を心待ちにしてました。観てよかった…!これまで観てきた映画の中で、最良の一本になりました。国内外の数々のニュータウンを設計してきた元大学教授の津端修一さん(90歳)と、奥様の英子さん(87歳)の日々を紡ぐドキュメンタリー映画です。
ご自身がマスタープランを作った愛知県春日井市のニュータウンに300坪の土地を買い、そこにちいさな森とモダンな平家を建て、「全部、自分たちでこつこつつくる」生活を送られてます。スローライフというのか。
森の中におふたりが住んでらっしゃる、という表現がぴったりで。70種の野菜と50種の果実が実る、豊かな自然がめいっぱい凝縮された素敵なおうちでした。

母からは「とても素敵なお庭だし、亡くなったおじいちゃんにそっくりだからぜひ観て」と言われてたのですが、もう本当にそっくりだったので、ものすごく親近感もわいて。
私が子供の頃に亡くなった父方の祖父なのですが、すらりとした佇まいでおしゃれで、髪型が津端先生にそっくり。そして家は山の中のニュータウンにある、こじんまりとした一軒家でしたが、家よりも庭の方がやや大きいという、本当に庭づくりが好きな祖父でした。ちいさな庭がまるでミニチュアの雑木林みたいで、本当に大好きだった。めちゃ小さな庭なのに小道があって、奥まで行くと、祖父お気に入りの可愛らしい盆栽たちが置いてある。
祖父母ともに亡くなった後、家も庭も無くなってしまって、喪失感がすごかったです。あの庭の風景は、今でもスケッチできるくらい鮮明に覚えています。

スローライフな日々を追うだけの2時間かといえば実はそうではなくて、津端先生の「人生最後の良い仕事」のストーリーが、胸にきます。
日本住宅公団のエースだった津端先生の後輩にあたる筑波大学の教授が「ばりばり仕事できる人なのに、スローライフみたいな余生をおくってるなんて…」と呟くシーンがあるのですが、その生涯最後の「良い仕事」のクオリティの高さは、まさしく最前線のプロの仕事でした。
一生をかけてやり遂げたい仕事って、何だよ?と常日頃考えている自分に、強烈に刺さった場面がたくさんあったし、最後は、めちゃくちゃ泣きました。本当に素敵だった。

このドキュメンタリー映画を作り上げた東海テレビ制作チームも、本当に素晴らしい仕事をされました。パンフレットの制作日誌がめちゃくちゃ面白くて(失礼)、ここまで「人生」に踏み込んだ映像を撮れるのは、信頼関係があってこそだなと。
パンフレットを買って良かったです。

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特に「監督日誌」と「製作日誌」ページが最高に面白くて、熱くて、めちゃくちゃ泣けるんです。すぐ涙が溢れるので、なかなか読み返せないほど。

2018年10月現在、まだDVD化されていなくて、自主上映会でしか観ることができない作品だと思うのですが、ぜひ、たくさんの方に観ていただきたい映画です。

映画『人生フルーツ』公式サイト

 

2017.9.2「世界でいちばん美しい村」@元町映画館
「世界でいちばん美しい村」を観てきました。上映してくれた元町映画館に感謝。2015年4月に発生したネパール大地震の震源地、ヒマラヤ山岳地帯にあるラプラック村が舞台のドキュメンタリー映画です。
写真家の石川梵さんが出会った、水牛の放牧を生業とする一家を軸に、日々の生活や祭事、震源地である村のこれからについて、丹念に追った映画です。
観てよかった。美しい場所は世界の至るところにあるのに、一番って言い切れるのはなぜ?という単純な疑問から気になって観たのですが、エンドロールが終わって、しみじみと実感しました。

言葉にすると軽くなってしまうけど、生と死と、過去と未来と、伝統と生活と、とても脆く危ういところに住まう人々が、それでも懸命に力強く、朗らかに生きている姿が美しくみえました。
何のために生きるのか?という言葉が頭に浮かんでいた時、その土地に伝わる民謡で「無意味な生」を嘆くフレーズがあってはっとしました。
難しい。それぞれがそれぞれの場所で、一生懸命に生きていくほかないのだけど、自分や他人の命を軽んじて傷つけることだけはやってはいけない、生かされていることに感謝をしながら助け合って生きていかなければ、と改めて思いました。
己が出来ることを、日々精一杯やり遂げるということです。

映像も素晴らしかった。ラプラックの人々が纏う衣服の鮮やかな色彩とか、ヒマラヤの山並みだとか。ドローンで引きの絵を多用されてましたが、大自然の厳しさと美しさが実感できる、本当に「ここでしか目にできない」情景でした。

石川さんが仲良くなった幼い兄弟、アシュバドルとプナムが、元気に生きていってくれるといいなあ。

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石川監督の舞台挨拶、行きたかったなあ…!一度しか見てないけれど、冒頭のハニーハンティングの映像(断崖絶壁)と、儀式の映像が強く印象に残っています。(特に、ガトゥの舞)

<オフィシャルサイトより抜粋>
ネパール大地震で壊滅した村が、悪戦苦闘しながら復興を果たそうとする姿を捉えた感動のドキュメンタリー。貧しくともいつも笑顔のアシュバドル一家、村を支える一人の看護婦、神秘的な風習、ヒマラヤの大自然を舞台に繰り広げられるさまざまな人間模様を捉える。

2015年4月25日 M7.8の大地震により300万人が被災し、9,000人以上の人々が亡くなったネパール大地震。
日本人写真家・石川梵は、大地震の直後にネパール・カトマンズへ飛び、ジャーナリストとして初めて最も被害が深刻といわれるヒマラヤ山岳地帯の震源地へ向かった。
ジープと徒歩で2日間、山道を開拓しながら辿り着いた震源地の村・ラプラックは、家屋がことごとく破壊され、村は壊滅していた。
カトマンズからの報道からは見えてこないネパール大地震の現実だった。

himalaya-laprak.com

 

2018.10.27「アラン・デュカス 宮廷のレストラン」@シネリーブル神戸
プロフェッショナルな方を追ったドキュメンタリー映画が大好きなんですが、3本の指に入りました。
グルメではない私は存じ上げなかったのですが、史上最年少(33歳)で三つ星を獲得した偉大なシェフ、アラン・デュカスの2年間に密着した映画です。3ヶ月前から公開を楽しみにしていました…とてもとても素晴らしかった!
ヴェルサイユ宮殿のレストラン出店がストーリーの軸になっていますが、日本(東京、京都)やアメリカ、上海、香港、フィリピン、モナコ、ブラジルなどの食材を探し求める旅や、世界の大都市にある自身のレストランを巡り、若いシェフに料理の極意を伝えていく仕事ぶりに密着した映画です。NHKの「プロフェッショナル」みたい。
ビジョンを持って、それを実現するために強烈なリーダーシップを発揮しながら実現させていく姿に惚れ惚れしました。理想のリーダー。
発する言葉のひとつひとつが、「料理人として」というよりは「仕事人として」刺さるワードばかりで、とても書き出せないくらいです。
各地の料理人との対話や、料理風景も良かったなあ。京都の鰻屋さんや、「天ぷら 松」の包丁さばきの素晴らしさ…
映像も素晴らしかった。料理の美しさ、店内の艶やかさはもちろんですが、食材が育つ自然の美しさ。薔薇、キャビア、カカオが特に印象的でした。

「高級レストランの価値は思い出をつくってもらうことにこそある」と仰っていましたが、本当にそうだなと思いました。
作り手さんが丹精込めて作った作物を、丁寧に料理していただいて、素敵な空間で、心を込めた接客をしていただく。最高の贅沢ですね。
いろんな人達に感謝したくなる、素晴らしい映画でした。

ducasse-movie.jp

 

他にも、いいなあと思ったドキュメンタリー映画2本。

2018.8.15「フジコ・ヘミングの時間」@サロンシネマ
素晴らしい音楽と映像。何歳からでもスタートできるんだという勇気を与えてもらえた。コンサートに行きたいなあ。世界各地にあるご自宅のインテリアがとにかく素敵。

fuzjko-movie.com

 

2016.10.9「カンパイ!世界が恋する日本酒」@元町映画館
映画館前で黒山の人だかりになっていたので興味がわいて。3人の男性たちのドキュメンタリー映画。アメリカ人の日本酒伝道師、イギリス人の杜氏、歴史ある岩手の酒蔵の五代目。「仕事が大好きな人の話コレクター」の私としては、本当にたまらない映画だった。

kampaimovie.com

これからも、ドキュメンタリー映画は積極的にチェックしていきたいです。